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久米忠史のコラム

久米忠史のコラム

【vol.011】 久米忠史の奨学金コラム [2011.04.04]

地方自治体が独自の給付制奨学金を創設!!

国が運営する日本学生支援機構奨学金は返還義務のある貸与型の奨学金です。
私が調べた限り、医療系を除くと地方自治体の奨学金も全て貸与型です。
つまり、この国の公的な奨学金は学生自身が背負う無利子か低利の教育ローンであると言ってもいいでしょう。

高等教育に力を入れる国はどこも返還不要の公的な給付制奨学金制度を設けています。 国として給付制奨学金制度を設けていないのが日本と韓国だけでしたが、遂に昨年、韓国でも給付制奨学金が創設されました。
つまり、先進国の中で唯一日本だけが、給付制奨学金制度を持たない国となってしまったのです。

国会では、政治家が時々思い出したように「給付制奨学金」の創設を掲げますが、お偉い先生方はお坊ちゃんやお嬢ちゃんが多いせいか、どうも本気で取り組んでくれそうな気がしません。
そんな中、国を頼りに出来ないとばかりに、地方自治体独自に返還不要の奨学金制度を創設する動きが出てきました。
まずは、四国の香川県から。

2011年2月16日 四国新聞社

県が独自奨学金制度/学生、県内就職で返還減免

学習意欲や能力のある学生を応援しようと、香川県は大学生らを対象にした県独自の奨学金制度を創設する。 貸し付けは無利子で、卒業後に香川県内企業などへ就職すると返還額の減免があることなどが特徴。 2月定例県議会に条例案を提出し、2012年度からの開始を目指す。
県内就職に対する優遇措置を設けた同様の制度は全国で初めてという。

さらに、もう1件。

2011年2月28日 読売新聞社

白河市が奨学金制度

福島県白河市は新年度から、大学生を対象とした奨学金給付制度を導入する。
新年度予算案に192万円(文系学生2人分、理系学生2人分)を計上した。 同市は「大学生を対象とした給付の奨学金は県内では珍しい」としている。 対象は市内に3年以上在住し、今年4月に大学1年生となる男女。控除後の所得が150万円以下の世帯などが条件。
奨学生には、文系学生に年額36万円、理系学生に同60万円が支給される。募集期間は4~6月頃を予定。 審査は高校の推薦状などの書類審査と面接がある。
市教育総務課は「白河発のよき人材を育てていきたい」としている。

福島県白河市は今回の震災で大きな被害を受けました。
もしかすると、奨学金制度の計画も大幅に修正せざるを得ないかも知れません。
地方の市町村では、若者の人口流出による高齢化、過疎化が大きな問題となっています。 また、この震災で東北の各地では壊滅的な被害に見舞われました。
命を落とされた人々、残された人々のためにも故郷の復興は大切です。
しかし、それは建物やインフラなどのハード面だけでなく、10年、20年後の人材を育成するための教育投資も同じように重要だと思います。

人口流出と不況の悪循環に悩む地方都市ほど教育の重要性を身に沁みて理解しているはずです。 地方で育った若者が都会で学び、故郷の活性化に尽力する。
今回の香川県と白川市の動きは、教育本来が持つ可能性を試すチャンスです。

大阪府の橋下知事や名古屋市の河村市長のように、脱中央集権、脱官僚政治を掲げ国や議会に対してもハッキリと物申す首長が市民の大きな支持を得ています。これは地方自治が大きく変わり始めている象徴的な現象だと思います。

国に頼るだけでなく、自分たちの将来のために、自分たちでできることを実行する。
香川県や白川市の給付制奨学金制度創設のニュース。この動きが、他の地方自治体にも広がっていくことを期待しています。

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