奨学金なるほど!相談所

久米忠史の奨学金ブログ

2016年09月05日

希望者全員に無利子奨学金の貸与を目指す【文科省】

給付型奨学金創設の検討に入った文科省では、適格者全員に無利子奨学金の貸与を目指す方向であることが明らかになりました。

東京新聞 2016年8月26日夕刊より
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無利子奨学金2.4万人分増 基準満たす全希望者に 文科省方針
 文部科学省が、大学進学者への無利子奨学金を約二万四千人分増やし、成績や保護者の所得の基準を満たした希望者全員への貸与を目指す方針を決めたことが分かった。全体で約四十九万九千人分で、二〇一七年度予算の概算要求に必要経費を計上する。返済不要の給付型奨学金も創設するが、十二月までに具体的な対象者などを検討するため、金額を示さない事項要求とする。

 無利子奨学金を巡っては、基準を満たしているのに予算不足で貸与されない「残存適格者」が一六年時点で約二万四千人おり、有利子奨学金を借りるなどしている。文科省は予算獲得で残存適格者の解消を目指す。
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記事によれば成績と家庭の基準を満たしていながらも、不採用となった残存適格者が24,000人いるとのこと。

無利子の第一種奨学金の最高月額が64,000円(私立大自宅外生)なので、15億円ほどあれば実現できる施策です。

同方針の中では、成績基準(評定3.5以上)を満たしていなくても、特に経済的に厳しい家庭の学生に対しては無利子の奨学金の適格認定を与えることも加えられています。

現場感覚からすると、貸与月額が決められている無利子奨学金では必要な費用を賄いきれないから、不本意ながら有利子奨学金を利用している家庭が多いので、潜在的な希望者は24,000人の数倍規模でいるはずです。

有利子奨学金の財源は民間からの借り入れや債権の発行に頼っているので、無利子奨学金ほど単純ではないでしょうが、この次には全奨学金の無利子化にも踏み込んでいただきたいと願っています。

楽観過ぎると言われるかもしれませんが、今回の文科省の方針は日本学生支援機構の奨学金が緩やかに「金融事業」から方向転換し始める前兆ではないかと少し期待しています。

今回は、あくまでも「目指す」という文科省の方針を示しただけであり、財務省との予算獲得交渉が鍵になってくるので、今後の動きを見守りたいと思います。

カテゴリ:奨学金ニュース|日時:2016年09月05日17:30|コメント(0)

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久米忠史プロフィール

1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。

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